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くるおし・・・違和はほんの少し





後ろから回された腕に力が篭る。
驚いて身じろぎをしたが、緩まることはなかった。


「シン、ク・・・・・・?」


名前を、呼ぶ。しかし彼は何も言わずに、肩口に顔を埋めてきた。
どうしたの、と再び声をかけてみたがやはり反応はない。
仕方ないのでそのまま、黙っていることにした。
何かあれば彼から口を開くだろうし、気が済んだら離れていくだろう。


いつもと違う、彼の行動。
ほんの少しの違和。
けれど、それが嬉しくもあり、くすぐったくもあり。


「シンク」
「・・・・・・なに?」


耳のすぐそばで彼の声。普段よりも気を張っていない、自分専用の声。
腕を、いつものぬいぐるみを抱えるように両手でぎゅっと掴む。
彼の感触とぬくもり。思わず顔がほころぶ。


「・・・・・・大好き」


何度目か知れない「大好き」を口にすると、彼は「知ってるよ」といつもと違う反応を返してきた。


ほんの少しの違和。
それが嬉しくもあり、くすぐったくもあり。


たまにはこんなのもいい。
そう思いながら、背中に彼のぬくもりを感じながら、目を閉じた。










end


お題はas far as I know 様よりお借りしました。


2006.8. ありさか