彼女を見る度に胸が高鳴る。きっと自分は、彼女が好きなのだろう。
だがしかし、それが自分の本当の気持ちなのか、本当に自分の感情なのか、最近になって疑問を持つ。
自分は一度死に、ローレライ解放と共にレプリカと消滅し、そして再びこの世に戻ってきた。
あいつの――レプリカの記憶を持って。


自分は「アッシュ」だ。「ルーク」ではない。
だが、やつの記憶を持っているのもまた、事実。


時々、それがとても恐ろしくなる。 彼女を想うこの気持ちもまた、やつの残留した感情が自分の心に関与しているのではないか、と。


自分は一体、何者なのだろう。二つの記憶を持ち、感情が自分のものなのかどうかすらわからない。
もし――もし、このこの気持ちが本当の自分の感情ではなく、やつの残留した感情だとしたらと考えると、素直に彼女へ想いを伝えることが、出来ない。


ああ。彼女への想いが自分のものではないと疑い、苦しむくらいならいっそ、
自分が、ルークならばよかったのに。
そうすれば、胸を張って自分は彼女を好きだと言えたのに。


ルークならば、よかったのに。



















end











ED後のシリアスなアシュティア(アッシュ→ティア)でした。






2006.8. ありさか